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■04/07/10 40巻から2ヶ月経って | |||
40巻から2ヶ月経って
最終巻読破から約2ヶ月経過しました。 読み終わった直後は、終わってしまったことで、動揺した日々を送っていました。 今年はこれ以上に動揺することはないと思っていたのですが…最近、私にとって大切だった人が亡くなってしまいました。 それも突然に。だから正直言って、今、人生最大に情緒不安定です。 ミラージュが終わることを知った時の恐怖以上に、精神的に混乱しています。 たぶん、それでも今のこの混乱した気持ちで考えていたことも残しておいたほうが良いような気がしています。 今の心境からの、最終巻の彼らについて、少しは目線が変わった気がするので書いておきたいと思います。 正直、改めて直江って凄いと思いました。 私は、自分の心の中のかなりの部分を長年占めていた人を喪失してしまったばかりですが、とても直江のような心境にはまだ至れない。 悲しくて辛くて切なくて後悔とやりきれない思いがごっちゃになっています。 直江がうらやましい。 たとえ考えることが恐怖であったとしても、予告されていた喪失だったのだから。 死ぬときに側にいられたのだから。 ちゃんと別れを告げることも見送ることもできたのだから。 死ぬまで、係わることが出来たのだから。 死んでも…共にいられるのだから。 …その全てがどんなに望んでも現実には無理な人のほうが多いと思う。 だからこそ、この過程が最上のあり方だったのだろうけど。 例えばね、直江が高耶の残像を求めるなら…四国へ行けばいいんですよね。 伊勢で桜の元へ行くのもいい。 自分の中の魂に語りかけることだってできる。 高耶の存在する姿が変わっただけ(これは言いすぎか)に思えてならない。 もちろん、普通の人の死と一緒で、新たに何か創造することはなく、新たな影響を与えることはないかもしれない。 ただ400年の思い出だけが直江に残ったのかもしれないけれど。 でもね、普通と違って直江には、残された彼の残像というか名残が多いので、うらやましくてたまらない。 高耶さんがビデオで言ってましたね。 生きているうちに幸せになれって。 でもね、それがとても難しいことであるって、本当に痛感しました。 相手が生きているうちに、私はやるべきことがあったのに。 伝えるべきことがあったのに。 相手が亡くなってしまったら、もう何も伝えられないじゃないか。 たぶん今の私は、イセに飛ばされてた直江の心境に近いんだと思う。 何をしていたのかと。ただそれだけの悔恨で、衝動的に叫びたくなる。 自分自身が嫌でたまらない。狂ってしまえない自分がさらに嫌になる。 泣きつづける自分も嫌になる。何のための涙なのかと。何故泣いているんだろうと。 こうして懺悔のように延々書きつらねていけば、伝えられなかったことを後悔する自分の気持ちはいくらかは和らぐことができるかもしれない。 でも、それは自己満足にすぎない。 伝えられなかった事実は…どんなことをしても消えはしないのだから。 あと、せめて半年早くミラージュが終わっていたなら。 このラストを、いや、高耶のメッセージをあと半年前に知っていたなら。 こんな後悔を味わうこともなかったに違いない…。 (でも早く終わるのも嫌だったので…仕方ないとは思いつつ。身勝手な読者でごめん) 生きているうちに…そうだね、高耶さん。 伝えないと、私は幸福にならないといけなかったんだよね。 でもね、高耶さんに教えられて、実行に移そうとした矢先だったのよ。 私は一体何に救いを求めたらいいのだろうね? 後悔なんかいくらでもしてる。だけど、果たせなかった悔しさで、前に進めない。前が見えないよ。 沢山の友人が励ましてくれた。慰めてくれた。 でも、どんなに他の人が、はげましや慰めをくれても、あの人でなければ意味がない。 等価の価値を他のどんなことにも見出せない。心の隙間を埋めることができない。 こうして考えすぎて毎日泣いて暮らしているのだって、これはもう自分でどうにかするしかなくて。 いつまでこうしてあの人のことを考えて泣いていられるだろうか。 泣かなくなったら、それは立ち直ったというよりも、記憶が薄れてきた証拠じゃないのかって。 それで誰も責めたりはしないと思うけれど、私は自分で今はその可能性にすら戦慄している。 だって、私が忘れてしまったら、他の誰があの人とのことを思い出すのだろうか。 相手が死んでしまえば、もう思い出だけしかのこらない。 それが当たり前なのに。それが普通だとわかっているのに。わかっていたのに。 突然すぎて(いつかは訪れるとしても、あと数十年は先…もしくは私のほうが先だと思ってた)思い出ばかりがこぼれそうなほど脳裏に蘇ってきて、よけいに切ない。 その思い出すら、脳裏に刻まれている不確かなものなので、私がどんなに足掻いても、いつかきっと消えてしまうだろう。 でも、直江には思い出だけじゃなく、確かなものが体の内側にのこってる。 それがとてもうらやましくて、妬ましくてたまらない。 でも直江のように魂を体内に入れるってのは、現実的にはちょっと無理なのはわかってる。 もののたとえ、だと思えば可能は可能なのだろうけれど。 例えばね、私の中のあの人の記憶というか想い出を、魂代わりに見立てて、眠らせればいいのだと思う。 でも、まだ私は心の中にあの人の墓標を刻みたくはないから、しばらくは思い出しては泣き続けているのだけど。。 そういう思いの過程が、要するに魂が砕けてしまうまでの間に、対話できるってことにあたるのだろうけれど。 だけど、直江のように、眠らせることの出来る自分に幸福感なんて…そんな心境にはなれやしないと思う。 まだそんな境地に至れるなんて想像もできない。 それでもいつか私にも、直江のような心境になれる日がくるのだろうか。 ああ、私に夜叉衆なみの霊能力があったなら。 再びあの人と話をする機会もあっただろうか。 魂だけとなったあの人を見つけることができるだろうか。 四国へ行けば、あの人に会えるだろうか。 直江のような力があれば、あの人をすぐにでも換生させることだってできるのに。 (それすらも、私の自己満足にすぎないのだが)たとえそれがあの人が望まないことだとしても、手段と力があれば、私は実行してしまうだろう。 もちろん直江のような力があれば、の話ですが。 高耶さんも…うらやましい。 それは、遺された人の悲しみを知らずに済んでいるから。 そりゃ、反対に遺していく辛さは感じていているだろうけれど。 その辛さは死ぬまでの間に辛いと感じることは出来るだろうけれど、基本的に死んだらその感覚も終わりなんだよね。 その後ずっと引きずることになる生き続けていかねばならない人のほうが、時間だけみれば長くて辛いと思う。 今の私の立場は遺された側なので、彼の立場はちょっと理解しがたくて偏った考えになってしまっているとは思うけれど。 まあとにかく、そんな理由で今は彼らがそれぞれ、とてもうらやましいと思ってます。 うらやましがるだけじゃダメだとは思っているのだけどね。 04.7.10UP |
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